僕の合気道では相手を崩すとは教えません。
相手は勝手に崩れるものと教えます。
相手を傷つけるというものは宇宙の意思に反したことです。また崩すということも宇宙の大きな流れから見ると逆行になります。
宇宙の意思とは生成化育です。
だからその宇宙の意思と流れに逆らおうとした時点で、心に乱れが生じ心の乱れが体の乱れとなって現れます。
合気道はその心の乱れを読み取り、体の乱れが崩れとなって現れた時にそれを支えてあげるわけです。
相手の隙や相手の欠点を補ってあげる。そうすることで相手と一体になりながらその主導権をこちらが握るという稽古を行っているのです。
だから稽古の意味を間違うと合気道の稽古にはならず、何か別のものになってしまうと思います。

相手の心の乱れを読むにはこちらは落ち着いて相手をじっくり観察すること。なかなか相手の意図が見えない時は、少し突ついて反応を見ることですね。
この突つくということを攻撃と考えてしまうといけません。あくまでも相手の反応を見るためのものです。
相手によってはこの突つきで過剰反応してこちらに攻撃を仕掛けてくる人がいます。そうすればこちらは喜んで相手の崩れを支えてあげましょう。

しかしいつまでも支えてあげるわけにはいきません。こちらもそうそう付き合ってられませんから。
ちゃんと相手が自分で立ち直って離れて行けばよいのですが、中にはいつまでも凭れかってくる人がいますね。
こういう人はもう自分で支えるよりも、宇宙に任せて絶対の安定状態においてあげればよいと思います。
そうすればやがて宇宙が再びその人を生まれ変わらせてくれるでしょう。
そう、そのためにトドメを刺すのですね。

このように合気道はひたすら相手のことを思い、宇宙の法則から考えて相手が常によくなるように考えて行えばよいのです。