先日、あるフルコンタクト空手家の方が当方を訪ねてくださいました。
お話を聞けば過去に輝かしい実績を持っておられる。
今はフルコン空手技術のみならず、投げや極めの研究もされておるとのこと。
極真空手の若い支部長の方を一緒に連れて来てくださいましたので、その方を使っていろんな技術の見せ合いをしました。
当然相手の方に攻撃してもらうのですが、若い支部長さん、オッサン相手に素手だとどうも手加減する気の優しい方のようなので、グローブをつけてもらうことにしました。
体重は僕より軽いので最初は無防備で殴ってもらいましたが、さすがに何発も受けると効くので、後は手を使って抑えてしまいました。
ご存知のように、僕は一切体を鍛えません。
鍛えるどころか稽古もしないので、合気道の稽古でも技の反復練習が出来ません。
なので相手と組んでの反復練習が多い、他道場への稽古参加や合同稽古などでの稽古は遠慮させてもらってます。
なぜ鍛えないのか稽古しないのかについては、めんどくさがり屋以外にも理由があります。
僕は合気道の中では体もごついほうなので何をやっても力技に見られがち。
「合気道に力は要らないよ」「特別な身体能力も要らない」と主張するためには、絶対に筋力を使わないようにせねばなりませんし、特別な動きをしてはなりません。
人間、持っているとついつい使いたくなるもの。
本当に使う気が無いなら持たなきゃいい。
まずそういうことで、「鍛錬」なるものは一切しません。
それともっと大事なこと。
体を鍛えるのはやはり、
「少しくらい攻撃を食らっても大丈夫な体を作る。鎧を纏う」
という考え方があると思います。
何発も撃ち合うフルコン空手の試合では必要なことと思います。
がしかし、武器に対した場合を考えて、体を鍛えることは有効でしょうか。
筋肉に力を入れると硬くなる。そうするとどうしても動きは遅くなるし自由度も無くなると思うのですね。
そしてその体を護る反復すると、やはりクセがつきますね。
対武器の時に、そのクセが完全排除出来るでしょうか。
僕はかなり難しいと思います。
対武器の技術として合気道をやってる以上、常に対武器の意識でいたいと思うし、対武器の動き以外はしたくないと考えるのです。
対武器の基本はやはり、武器が体に当たらないということと思います。
と言って常に対武器で稽古するわけではありません。徒手で稽古する時が多いです。
なにしろ武器稽古をやるためには、相手の技量も求められますからね。
下手くそ相手の武器稽古は恐いです。なので徒手稽古が多くなるのは当然。
で、徒手で稽古する時の心掛けとして、無理はしない、頑張らない、想定外の圧力には敏感に対応すること。
自他の距離や角度に敏感になること。
「少しくらい痛いのは当たり前なんだよ」
は、対武器稽古では通用しません。
ましてや対多人数想定なら、かすり傷ひとつ負いたくないですよね。
極めの場合は別ですよ。極めは痛くなきゃ意味が無いです。
徒手格闘技の人にはそこまでは求められません。
一撃必殺の攻撃を100%の確率で先手で行えないなら、被弾は必至。
肉を斬らせて骨を断つという言葉通り、肉を斬られる覚悟が要ります。
でも、なるべくは斬らせたくないですよね。
トーナメントならなるべくダメージを受けたくないでしょう。
なので少し視点を変えて、相手の攻撃をいなしながらなおかつその動きがこちらの攻撃に繋がる稽古をしていただきたいですね。
肉体は年とともに必ず衰える。
回復力が落ちて来るから練習量が落ちざるを得ないのです。
それは仕方がない。
それと同時に気力も衰える。不安が恐怖心を誘う。
では何も出来ないのかというと違いますね。
解決策があります。
「技術」「戦術」で補うということです。
頭で勝負するということです。
一発でも「被弾したら死ぬ」という覚悟を決めてから、僕の頭の中は常にずっこいことばかりが渦巻いてます。
ずっこい技術がお入用の際は、ぜひ当方に。
帰りがけに空手家の先生、僕の肩を掴んで言いました。
「ホンマに筋肉無いんですねえ」
「でしょでしょ」