これは「吉野愛氣塾」という名前で活動をしていた時のもので、2002年11月13日に発表しました。
今でも基本的な部分は変わってはいませんので、掲載します。

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吉野愛氣塾では剣、拳、蹴りなどをすべて同じ術理で行います。
理論からそれを身につけるための稽古法まで紹介していきますが、今回はさわりの部分だけご紹介します

構えの基本は愛氣塾の稽古にて説明したように、剣でも打撃でも同じです。
まずは剣の振り上げ方を説明しますが、剣を構えたら胸を窄めて肩を固定したままで振り上げていきます。
そうすると必ず、その肩のままでは剣が上がらなくなる位置があります。剣はそこまでしか振り上げないというのがまず最初の基本になります

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このように肩が上がってしまってはいけません。

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多くの人はこのような肩が上がった状態から、力を入れて振り下ろそうとします。そうすると肩が上がったまま腕が振り下ろされてしまい、いわゆる「手打ち」の状態になりますし、体が浮き上がって体勢が崩れることにもなります。

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まずはしっかりと、自分の体のバランスが崩れることのない剣の上げ下げを、ゆっくりと稽古します。

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この基本がある程度わかれば、今度は剣を振り上げるのを腕の力で振り上げない稽古をします。
しっかりと腰を落として力をためた状態から、腹を出すことによって剣を上げます。これが腹の力で上げると言われているものなのですが、実際には脚力により産み出された力です。
そして肩の位置を固定していることによって、脚によって下から上がって来た力が止まりますが、この時に反射が起こります。

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その反射の力でもって剣が振り下ろされる。その振り下ろしの力をまた腹に収める。
実際には脚力として溜め込むのですが、この溜め込んだ力を、また次の剣の振り上げに使うのです。
このようにして最初に産み出した力を循環させて使うことを剣の上げ下げで学びます。

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次に拳での突きに関して説明します。
剣の素振りでは、振りかぶって振り下ろしというものを大きく行いますが、実際の実戦では剣はそんなに大きく振りかぶる必要はありません。

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これくらいの振り幅くらいでよいのではないでしょうか。

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この振りの幅がもっと小さくなって、前に出る方向が強く出ていくと突きになるというのが吉野合気道の考え方です。

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剣の突きは両方の手を一緒に突き出しますが、

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片手で行えば、空手などでよく見られる突きになるでしょうということです。

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これを蹴りでも同じ理屈で考えます。
剣の振り上げの状態は拳でいえば相手の体に拳が触れた(あるいは入った)状態までの時。

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それが蹴りではこのように足を上げた状態と同じと考えるのです。

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後は剣の振り下しや拳の突き出しと同じく、蹴り出すだけです。

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蹴り出したあとはきっちり収めて元の位置に戻すという基本の動作を、速さで誤魔化しをせずに、グラグラすることのないようにバランスを重視しながらゆっくりと行うのが、吉野合気道の蹴りの基本稽古です。

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あと、蹴り足を上げる動作を、後ろ足の蹴り出しや要らぬ力を使わずに、自然にあげるために普通に歩きながらからの足上げや蹴りを十分に行います。
これが身につかないことには、相手に簡単に蹴りを察知されて、当たらないということになります。
当たらない蹴りがいくら強くなっても意味はない。
また当たらなくて自分のバランスが崩れるようなことになってはいけません。
だからまずは自分のバランスを保つことと、的確に当てることの出来る、足の上げ方や蹴り出し方から稽古させるのです。

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次に突きと蹴りをミットを使って説明します。
今までの説明の通り、剣の振り上げ振り下ろしの要領で突けばよいのですが、

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もう少し詳しく力の流れや体の使い方を説明しておきます。

まず、相手に自分のほうに倒れこんで来てもらいます。それをしっかりと「受け止める」のが基本です。
この時に、相手の重力エネルギーを足に自分の足に溜めるようにしっかりと膝を使って腰を下ろします。

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次に、相手を受け止めたまま手を繋ぎ変えます。これが「突きを当てる」という行為にあたります。
注意することは、相手の傾斜(寄りかかり具合)を変えないということ。
これは相手との距離を保つということと同じです。

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相手をしっかり支えたら、つまり当たったら、腕の力はそのままにしておいて、足の力で相手を起こして、相手が起きた時点で腕を伸ばします。

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後は、楽にフォロースルーです。

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これと同じような突きが中国武術にもあるそうですね。
馬弓捶(まきゅうすい)または馬歩弓捶というもので、馬歩(騎馬式)から弓歩(弓箭式)になりながら、腰を足の力で回転させ、両足の重心を結ぶ線と垂直な方向に捶撃を放つというものだそうです。

次に蹴りの説明をします。
蹴りは安易に相手に乗り掛かって体重を掛けてしまうと、相手がしっかり腰を据えて立っていた時に、

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このように自分が浮き上がって後ろに飛んでしまいます。
当然突きでも同じことが起こりますが、蹴りは片足で立っているためにこれが顕著に表れます。

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そこで蹴りのポイントとしては、相手にコンタクトした瞬間にこのようにしっかりと腰を落とし、相手と地面との間に自分の体を入れ込むことが出来るかにあります。

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しっかり腰が入ってさえいれば、相手のエネルギーが自分の足に蓄積されていますから、それをバネにして力を放出すればよいのです。

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吉野愛氣塾では、以下のような稽古を、相手を使ったりまたは壁を使ったりして十分に行わせます。

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それが十分に身につけばば、安易に上から乗っかるように入るのではなく、

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このように相手の中心の下から食い込んで入れるようになります。これが突きで言えば、相手が倒れ掛かって来たところを腰を下ろして支えているところに相当します。

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次に見た感じではわかりにくいですが、相手をしっかりと正面で捉えるこの部分が、相手を起こす部分になります。
剣で言えば振り上げの部分です。

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後は剣や突きと同様、ただ楽に足を伸ばすだけ。
自分の体が崩れることもありません。

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相手のエネルギーを自分の体を経由して地面に伝え、その反力をまた自分を経由して相手に返してあげるだけ。
これって、「人は天地の呼吸の仲立ちをすべき」という合気道開祖の教えに合致していませんでしょうか。

自分の体は一種のスプリングのように使えばよいのです。スプリング自体には「意思」は要りませんね。
意思が必要なのは、どの強度のスプリングをどの位置にどのタイミングでどういう角度で入れればよいのかという部分です。

その意思の部分こそが、合気道で修練していくべき「気」であるというのが、吉野愛氣塾の考え方です