天上天下唯我独尊という言葉は、お釈迦さんが誕生したとき、その直後に四方に七歩ずつ歩き、一方の手で天を、一方の手で地を指して唱えたという伝説に基づくものです。
べつに釈迦が最初に言ったのではなく、釈迦以前に出世したといわれる過去七仏の第一仏である毘婆尸仏(びばし)が誕生した際に言ったとされています。
「唯だ、我、独(ひとり)として尊し」ということは、他人と比べて自分のほうが尊いということではありません。
自分は誰とも代わることのできない一人の人間として、生まれ落ちた瞬間からそのままに尊いということを発見してそれを教えた言葉です。

この宇宙においての「自己の確立」とそれに伴う「自己の使命」を説くものであり、この宇宙の万物はそれぞれに生まれ持った役割があるから尊いものであるから大切にしなければならないということ。
よく勘違いされて使われますが、「自分が一番えらい」というような「自惚れ」の意味ではなく決してなく、「あんたもえらい、わたしもえらい」という感じかな。

明治36年に生まれ26歳の若さで亡くなった天才童謡詩人、金子みすゞ がこんな詩を書いています。

天上天下唯我独尊

現代風にいうと、

僕らも 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ
その花を笑かせることだけに 一生懸命になればいい
小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから NO.1 にならなくてもいい
もともと特別な Only one

ってことかな。

合気道ではこの「天上天下唯我独尊」を「我即宇宙」と言っています。
自己の中心を宇宙の中心と合一させる。
ただし、自分も我即宇宙なら、他人も我即宇宙ですからね。
そこんところを思い違いすると、自己中で傲慢な技になってしまいます。

お気をつけを。